商品開発部のある日常





皆様もご存知の通り
我が社では様々なアイディアと共に、
多様化する時代に合わせ商品を開発してまいりました。
アクセサリー、然り。ブランドも然り。ボタンの一つにまで拘る事もまた然り。
それにはまず、見本となる若者が必要となります。
我が社が独自に調査した結果、
このようなカップルが今回商品を開発するためのテーマを作ってくださいました。
では、こちらの映像をごらんください。





「月君。」
「なんだ?竜崎。」
「ボタンが取れてしまいました。
留めていただけませんか?」
「はあ?馬鹿かお前。
僕はお前の召使でもなければ執事でもないんだ。
 そんなこと自分でやれ。」
「たまには違う服を着て来いと言ったのは月君でしょう。
着慣れてなくて留められないんです。」
「………………。」
「それに、私は月君にやってもらいたい。」
「あー、もうわかったよ。
しょうがない奴だな……。」
(ぶつぶついいながら留める)
「……竜崎、もっと近寄れ。留めにくい。」
「男性のボタンの向きは基本的に留めにくいですから。」
「(イライラし始める)あーもう、接着剤で留めていい?」
「やめてくださいよ。」
「じゃあ、もっと近寄れ。」
「…………………。」

ちゅっ

「な、な、な、なにするんだこの変態爬虫類!」
「いえ、ただなんとなく、
月君が可愛かったので。」
「馬鹿言うな!男でそんな褒め言葉嬉しくない!」
「じゃあ、ボタンを留めてもらったお礼ということで。」
「お礼になってない!」

ちゅっ

「…………(赤面)あー!もう、行くぞ!」
「はい。あ、」
「今度はなんだよ……。」
「ボタン一個ずれてます。」
「もう知らない!」





見ましたか、皆様!このカップルを!
まさしく、幸せ絶頂のバカップルといったところでしょうか!
ちくしょー、男同士でうらやましいなといっか感想です!
しかし、我が社の社員は見るポイントが違います!
ボタンの留め方!
女性は昔、メイドに留めてもらう為、わざわざ左を中に入れる形にしたのです!
これを男性用に改良して名づけて、『目指せ彼女にボタンを留めてもらおうワイシャツ』!
これで朝、奥様にボタンを留めていもらうことも出来ますし、
このように彼女がイライラせずに彼氏といちゃいちゃ出来るというわけです!
は?今の男同士ではなかったか?
気にしてはいけません!気にしないことが明日に向かってポジティブに生きる秘訣なのです!
そして、こちらの商品、詳しい構造はといいますと……


 と、まあ、社長。このような感じでこの商品を売り込んで行きますが、どうでしょうか?
 これに使った本人たちの承諾は得ているか?いえ、これから聞きにいくところで……。
 OK?OKなんですね!よっしゃ、皆!あとは本人たちの承諾を得るだけだ!
 よし、お前等!俺についてこい!



 「誰が承諾するかぼけえええぇぇぇぇ!!」
 夜神月の叫び声と共に、パイプイスが飛んだとか、飛ばなかったとか……。





 砂が…砂が…砂が……ぐはぁ。



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