「ん？」
「俺……もう死にたい。」
「え？」
「な……なに……なにを……」
「なんとなくだよ？ただ……なんとなく、そう思っただけ。」
「どう……して？どうしてそんなこと、言うんだよ！
どうしてそんな酷いこと言うんだよ！
やめてよ……やめてくれよ！」
「月、落ち着いてよ。」
「落ち着けるわけがないだろ！」
「だって、皆、そう思ってるんだもん。」
「……なんで、叩くんだよ？」
「月、俺が死んだら困るんだろ？」
「そ……そんなの……」
「俺が死んじゃったら、月、捕まっちゃうもんな？」
「月はやっぱり人間で……他の奴等と同じで……自分さえ助かれば良いと思ってるんだ
ろ？」
「ち……ちがっ……」
「嘘だよ、月。ごめん。傷ついた？……でも……どこかでそう、思ってるんだろ？
大丈夫、俺……全然気にしない。しょうがないよ、月は……人間だから、そう思っちゃうんだ
ろ？
可哀相……死神だったら、そんな醜いこと、思わなかったのに。」
「大丈夫……守るよ、約束する。
俺に人間を殺させたほうが……月、罪に問われないしね？」
「ごめんな？俺が変なこと言っちゃったせいで……
月、傷つけたみたいだな。
俺も……どうしてそんな風に思ったのか……
よく、わかんない。
ただ
俺の……まだ残ってる
人間の時の記憶が……
そう、叫ぶんだ。
死にたいって。」
「変だよな……俺
中身は人間だと思っていたのに
こんなこと、考えるなんて、おかしい……
やっぱ俺、変なのかな？」
「ああ……ごめん」
「ごめん……ごめんな？
こんなに震えて……可哀相に……
慰めてあげる。
月、顔上げて。キスしてあげるから。」
「月……？疲れちゃった？
もう、御ねむの時間？
ベッドまで運んであげようか？」
「待ってて？飲み物持ってくるから。」
「なに、やってるんだ？月。そんなベランダで……」
「月……危ないぞ？そんな所に立って……手擦りの外に、出ちゃ駄目じゃないか。」
「 」
「あ」
「月……こんなことやっても、寿命、減ってないよ？」
「……うっ」
「ああ……月、よかった。
下が花壇で助かったんだぞ？」
「メロ……僕」
「僕……ダメだ、もう……一緒にいられない。」
「なんで？」
「お前を……傷つけている。」
「なに言ってるの？俺、傷ついてなんかないぜ？」
「でも……」
「俺が変なこと言って……月、びっくりしたんだよな？
ごめんな……人間は、あんなこと、思わないよな？
もう、逃げないで？
俺から、逃げないで？
そうじゃないと……
俺……本当に死神になっちゃうから……」
「メロ」
「人間だから……そう、思うこともあるよ。」
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