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別に俺はどちらの味方もしないさ、ああそうさ。
たとえどんなに可愛い相手でもどんなに林檎を積まれても、しょせん相手は人間。
人間と死神……それはけしてそれはまじ合うことのない関係……ってなわけじゃな
い。(おい)
だってだ、考えてみろ?林檎ダンボール10箱目の前に積まれたり自分の好みの奴が抱
きついてきたりしたらそれは俺自身の欲望のために何か行動を起こすわけであってそれ はまさに自分のため!そう、誰の味方でもない俺のため!ってなわけで、今日も今日とて俺 は月につくすわけなのだ。(だめじゃん)
いや、まあ。月はキラのことに関して俺に一方的な援助を求めてくることはない。それはあいつ
のプライドみたいなもんだ。だが日常生活では?はっきり言おう、我侭な女子高生かお前? 確かに、友人にも家族にも『僕は超真面目で出来のいい人間です』仮面を被っていて、周りも それを求めてるみたいな様子だから、あいつだってそりゃ息も詰まるわな。そこにアバウトな俺 が奴の生活の枠組みに組み込まれた瞬間から、どうも俺にだけ態度が惨い(酷いのでは ない惨いのだ)のだ。
例えば、マリオゴルフ。俺が勝負に勝った瞬間奴はにこやかに電源を消した。その後
俺が目を離しているうちに俺のセーブデータを全部消した………!
まだある。林檎をぜんぜんくれなくて、そのことを言おうとすると『今、忙しい。五月蝿い。』『五
月蝿いって言ってるだろ。』『うるさーい。五月蝿い五月蝿いこの五月の蝿。』そして禁断症状 で逆立ちしてる俺に『サーカスにでも行くの?』笑いやがった。にこやかに笑いや がった。
もうこんな奴は知らない。何か頼まれても知るものか。そういう気持ちでいるところに、奴はちょ
っとだけ、そして誰にも言わないような甘えた声でお願いをしてくるのだ。
それを断ってるかって?
断れてたらこんなに悩んじゃいねーよ!!(怒)
そして今日も今日とて。
奴は俺に、無理難題を押し付けてくる……。
死神と仔猫のワルツ
静まり返った夜の部屋。
明かりがつくのはその部屋のみ。
月が、おずおずと四つばいになる。
「腰上げろ。」
いやいやと月が首を振るので、俺は腰を掴んで上に持ち上げた。彼はずっとベットの一点を
見つめている。
そして、震えた声で、
「や…やめて……」
………………。
「……や……」
……………………。
「やめろっていってんだろこの馬鹿死神!違う!なんかイメージと違う!これじゃまるで犬み
たいじゃないか!やっぱやだ!他の試す!さっさとどけ!」
はあ………。
俺が離れると月はエロ本を見ながらぶつぶつと、
「なんだ?写真と同じ事をしてるのに、なんでこんなに辛いんだ?この写真の人はこんな辛い
体勢していて疲れないのか?」
俺たちは今。
正確には月は。
恋人であるLを喜ばせるために。
体位の練習をしていた。
ベットに座り込み、エロ本を教科書のように読む月。もちろんパジャマ姿だ。俺は呆れながら
見ていた。
「なあ、やりたきゃ一人でやれよ。」
ごもっともな俺の意見に、だがしかし月は、キッと睨みつけ、
「はあ?馬鹿じゃないかお前。こんなこと一人でやってたらただの阿呆だろ?相手がいなきゃ
こういうのはわからないよ。」
いや、挿入れてもないのにこんなことしてる事態馬鹿だから。
無論、それを言ったら拳の嵐が降る。
「……そんなにあの男を喜ばせたいのか?」
突然、本の角が俺の顔面に直撃した。投げた本人は、顔を真っ赤にして、
「誰があの変態体育座り男を喜ばせるだって!?ただ、これは、その、実験だ!どんな体位
でその……きもちいのか……しらべるための……」
おーおー、いっちょまえに恥ずかしがっちゃって可愛い。
「さあ、次だ次!これやろ!これ!」
指差すページをみて、俺は固まった。
「……なあ。」
「なに?」
「お前、俺のことどう思ってる?」
「そんなの決まってるだろ?馬鹿死神。」
お前はさ。
俺を、一匹の雄として見た事がないのか?
それは、立ち松葉というなんとも練習だけするには眩暈がする体位だった。
こいつ、俺が本気で襲い掛からないと思ってるのか?
お前みたいな人間ごとき、簡単に、
「ねえ、早く早く!」
簡単に………
えっと………
そんな、興味津々の仔猫のような瞳をしないでくれ……。
物凄い罪悪感に駆られる……。
いや!俺はあんな変態体育座り男のような我慢のならない男じゃない!
こんなまだ二十歳にも満たない子供に、そんなことをするはずがない!
ない……はずだ……。
「あー…じゃあ、うつ伏せになれ。」
「うん。」
素直に言うことを聞く月。俺もベットの上に乗り、彼の両足を一気に持ち上げ、腰の高さまで
持ち上げる。月の上半身がベットに押し付けられるような体勢になり、支配欲がちらりと浮かん だ。もしこれで挿入れていたら、モノが奥まで入り込み、ポイントも突きやすいだろう。こちらも 相手も刺激的なはずだ。だが、やってみて気づいたんだが……
「なあ……頭に血が上らない?」
「………上ってきた……下ろして。」
やっぱり。
また月は座り込んで、本とにらみ合いながら唸る。
「なんでだ……?女の人はこんなことして痛くないのか?」
「女は基本的に体が柔らかいからな。」
というか、さっきから気になってたんだが。
「もっとさ。お前、基本的な体位を練習したほうがいいんじゃないか?」
すると、月は唇を突き出す。
「そんなの、つまらないよ。」
「っていいながら、さっきから試すもの全部文句つけてるじゃないか。」
うっと月が押し黙る。しぶしぶと、前のページをぺらぺらと捲り、
「じゃ、これ。」
………これはこれで、俺がやられると我慢が……ってそうじゃない!俺は仔猫は襲わない!
我慢だ。我慢しろ俺!
「リューク。仰向けで寝ろ。」
命令形だし。
それに従う俺って死神失格?
月は仰向けの俺の上に馬乗りで乗り、下半身に己のモノを押し付けてくる。こうすると、結合
部分が丸見えになるわけだ。それを理解したのか、彼の顔が熟した林檎のようにかぁっと赤く なった。慌てて離れようとする。が……
「あ……っ」
立ち上がりかけた月が、嬌声のようなものを上げた。またぺたんっと座り込み、今度は自分
の体を俺の胸に押し付けてくる。こちらを見ると、涙を溜めて震えている。
なんだ!俺、なんか悪いことやったのか!?
「あ……」
「ど…どうした!?」
「………足攣った〜!」
あ、そういやこいつ、足のむこうずねと足の付け根をぺったりベットに押し付けてる。慣れてな
い奴には攣るはな、そりゃ。
「ちょっと…このままでいさせて……」
いや、待て。せめて横にずれろ、いい加減俺の理性が……我慢、我慢、我慢……
「ところで月……」
「なんだよ?」
「お前、正直なところ、俺のことどう見てるわけ?」
見方によっちゃこの台詞は告白にも近いな。月はしばらく首を捻った後。
「どう見てるかといわれれば……」
「いわれれば?」
「ペット。」
あはっvと笑いとつけて。
きっぱりと。そりゃもう清清しいくらい。
その瞬間、俺の色々な部分の糸がぷっつり切れた。
「へえ……お前はペットとこんな体位しててヨロコぶわけか?」
俺は月の内股に脚を滑り込ませる。ぐっとモノを膝で押し上げた。
「ひぁ……!」
今度は本当の嬌声。慌てて月は口元を片手で押さえる。そうすると、体を支える腕が一本に
なるし、足は攣ったままなので、結果体重を腰にかけることとなった。そのまま俺は小刻みに膝 を揺らす。その振動で感じてきたのか、だんだんとコイツのモノが硬くなってきた。
「リュ……ちょ……やぁ……!」
必死に口元を押さえ、甘い声にならないよう頑張っているようだが無駄なこと。しゃべる言葉
自体こちらを煽っている。
指を月の秘蕾にもっていく。布越しからぐりぐりと弄くってやれば、一際高い鳴き声を上げる。
「あんまり声を出すと、隣に聞こえるぞ。」
「…………ん……ッ!」
妹に聞こえるかもしれないというシチュエーションに、月はさらに感度をよくしていく。あまりに
も声を押し殺そうと指を噛んでいるので、わざと余っている手で両手をどかした。
「あ……あっ……あ…あっ……」
微妙な刺激に悶え感じる月。そのうち、自分から腰を押し付け始める。
「い……イクッ……や……」
その言葉に、俺は膝と指の力を強くした。引き攣った息と共に、膝がじわりと湿る。射精した
のだ。恥ずかしいのか、それとも今の行為の直後のためか、月の白い頬がうっすら赤みがさし ている。俺はそんなコイツのパジャマのボタンに手をかけて………。
って、待て!俺!
ダメだダメだダメだ!いくらなんでも最後までやっちゃいかんぞ俺!いや、だが、ここまでやっ
たら何処まで行っても同じか?いやいやいや!俺は仔猫を最後まで食うことはできない!悪戯 はしてしまったが……
「リューク……このままにしないでよぉ……」
腹の上で荒い息を吐きながら、月が苦しそうにつぶやく。俺は残っている理性を総動員して
拒否をした。
「だめだ!」
「だって……こんな中途半端……」
「だめ!どくんだ!」
「僕、大丈夫だよ!最後までやってよ!」
「ダメだ!」
「どうして!?」
潤んだ瞳で訴えかけてくる。だってだ。お前は人間で子供で彼氏がいて男を受け入れた事だ
ってたいした回数があるわけでもないのに俺のなんか入れたら壊れるだろうし……
もちろん、そんなことはいえない。これは俺のプライドだ。
本心を明かして、こいつを縛り付けることは、俺にはできない。
だから。
「それは……」
「………………。」
「それは……、お前を抱いたら後々慰謝料を取られそうだからだ!」
いやもちろん、死神から慰謝料なんて文字通り前代未聞だ。
それを聞いて月は、微妙な顔つきをした。怒っているような悲しんでいるような呆けているよう
な。しかし、下をうつむいて顔を上げたときにはにっこり笑っていた。
それはもちろん、喜んでいるわけではない。キレたのだ。
「この……」
月が、がっと俺の頭を両手で鷲掴みする。
「この………!」
あ、もしかして、Lとかもやられたアレ?(犬と仔猫の夜想曲**参照)
「いくじなしいいいぃぃぃぃ!!」
そして俺は。
見事な十本線の引っかき傷をつくることとなった。(すぐ治ったけど)
「リュークの鈍感……いくじなし……馬鹿死神……」
その後すぐに呟いた月の言葉が、俺の耳に届くことはなかった。
ちなみに次の日。
「月君。こんな体位、どこで覚えたんですか?」
「本に載ってた。」
「……ずいぶんお上手ですね。抱き枕でも使いましたか。」
「違うよ。友達に……(はっ)」
「へ〜。お友達と?」
「あ、いや、えっと……ホントに……練習だけだよ。最後までやってないよ?」
「つまりそれは途中までやったということですね……」
「え、え、えっと……(←墓穴掘った)」
「まあ、嫌ってほど最後までやってあげますから。」
「や…やだー!(引っ掻く)」
「月君(怒)!」
そしてLも引っかき傷を作ったとさ。
親の苦労、子知らず。
死神の苦労、仔猫知らず。
なんてね。
そんな可愛い事を
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